医療接遇&人材育成の教科書 初めて病院の採用担当者になった方でもよく分かる「コメディカル採用の基本」
「初めて病院の採用担当になった!」
「職員の採用を強化しないといけないが何から取り組むべきか分からない!」
病院の新任採用担当者でも基本からコメディカル採用のポイントを理解することができる人材採用コラムです。
1.そもそも「コメディカル」は何を指す?
最近よく聞くようになった、「コメディカル」という言葉。どうも医療関係のスタッフのことを指すらしいけれど、結局どこからどこまでをコメディカルと呼ぶの?と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
そもそも「コメディカル」という言葉自体も、1989年に慈恵医科大学学長先生が提唱された和製英語です。アメリカでは、この「医師の指示を受けて働く医療スタッフ」のことを「paramedical staff」と呼びます。
最初は日本でも、パラメディカル、とも言われていましたが、ここ最近では「コメディカル」が定着してきたようです。
どちらにしても、日本でもこの「チーム医療」を推進する動きは大きくなっています。
これまで資格ごとにばらばらに動いてきた医療スタッフの採用を、トータルな動きで考えていくことが求められていくのではないでしょうか?
よりよい採用をしていくために必要な基礎知識や考え方などをご紹介していきたいと思います。
2.「コメディカル」の具体的な職種は?
コメディカルの代表的な職種が看護師ですが(定義によっては、看護師は指示を出す側としてコメディカルに含まない、とするものもあります)、まずは「コメディカル職」に含まれる職種を挙げてみたいと思います。
【看護師・薬剤師・臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士・義肢装具士・臨床心理士・管理栄養士・栄養士・保健師・助産師・衛生管理者・衛生検査技師・救急救命士・精神保健福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・介護福祉士・保育士・診療情報管理士・医師事務作業補助者・医療」保険事務・・・他】
「患者を取り囲む医療職は、職種に関係なく「メディカルスタッフ」とする考え方に基づくと、医事課スタッフまでが、「コメディカル」に含まれる、とする考え方が近年の主流のようですので、想像していたよりも、多くの職種があることに驚かれた方も多いのではないでしょうか。
毎年のように採用が発生する職種もあれば、現在のスタッフが定年退職しない限り、採用することはない職種、まったく不要な職種もあるかと思います。
3.病院ごとに異なる採用ニーズ
全ての職員は一つのチームと考え、患者様のために最善を尽くせるスタッフを採用しなければならない。
とは言え、なかなか今までの「役割分担」「慣習」「考え方」を一気にかえるのは難しいものかもしれません。
まずは大きく「スタッフ数の多い職種」「定期的に採用が発生する職種」から、採用方針を固めていくというのが取り組みやすいのではないでしょうか。
大切なことは、全体としていつどのような職種の採用が発生したとしても、採用の基本的な方針が共通していて、人事採用担当者や面接官が変わってもそれを引き継げる体制になっているということ。
診療科目の追加・取りやめなどの劇的な変化で、今まで採用したことがない職種を採用する場合はどうするのか。今まで25年勤続した院内唯一の資格者が突然の退職。こんな時はまず何から始めるのか。
入職予定日ぎりぎりに、内定者がまさかの辞退。対応策はあるのか。
日々忙しい業務の中で、なかなか考えることのできない課題でも、いつ発生するかはわかりません。
急な退職(欠員)者が出て、採用の必要性が発生したとき、どのような流れ・手順で進めるかを、普段の採用を通して基本方針を策定しておくことが、多数の職種にまたがるコメディカル採用を成功させる重要なポイントです。
4.採用の基本の流れを確認しよう
採用には、大きく分けて4つのステップがあります。一ステップずつ確認していきましょう。
①.計画する
「計画する」ステップに必要なのは、「何のためにどのような人材をいつまでにどれだけ採用するのか」という採用の目的を、最終意思決定権者と共有することです。
「組織運営に十分な状態」「組織運営に必要最低限の状態」の2つの状態について計画するとよいでしょう。
あいまいなまま進めると、後の修正が難しくなります。特に、採用時期についてはマーケット分析と大きく関わってきますから、念を入れて確認しましょう。
②.準備する
このステップを、「採用計画」と呼ぶ組織も多数あります。
前年の総括と現状のマーケット分析をし、どのように母集団形成するかを決定、予算を立てます。
組織によってはどのようにPRするかコンテンツを作成するケースもあります。また、面接官の教育もこの段階で行います。
③.募集から面接まで
実行するステップです。ここが一番の山場となります。
応募者を選別すると同時に、応募者から選別される場でもあります。
「ふさわしい人材像」の選定が正しくとも、「ふさわしい人材像に当てはまっているか」を間違えてしまえば結果は失敗です。
④.内定から入職まで
新卒であれば、秋ごろまでに内定を出し、各種国家試験をパスして入職するまで、薬剤師など採用活動が早い職種で9ヶ月程度、フォローが必要な場合もあります。
中途採用であっても、現職ありのまま転職活動をした方の場合、前職の引継ぎや有給消化などで、内定だしから入職まで3ヶ月以上かかるケースも。一般的に病院では内定者フォローに力を入れないケースが多いですが、辞退者が毎年継続して出るようなことがあれば、この部分に目を向けてもいいでしょう。
次回から採用手法の細かいステップをご紹介します
今回は、「コメディカル採用の基本」をテーマに、病院で考えるべき採用全体の大きな流れを確認しました。
次回から、採用の流れでご紹介しました「①.計画する」の内容から、特に「②.準備する」のステップを中心に、職種ごとに異なる採用手法の細かいステップをご紹介したいと思います。