医療接遇&人材育成の教科書 病院の採用担当者が知っておきたいコメディカル採用の基本(4.内定から入職まで編)
1:「内定から入職まで」編
今回も基本編のおさらいをご確認下さい。【新卒であれば、秋ごろまでに内定を出し、各種国家試験をパスして入職するまで、薬剤師など採用活動が早い職種で9ヶ月程度、フォローが必要な場合もあります。中途採用であっても、現職ありのまま転職活動をした方の場合、前職の引継ぎや有給消化などで、内定だしから入職まで3ヶ月以上かかるケースも。一般的に病院では内定者フォローに力を入れないケースが多いですが、辞退者が毎年継続して出るようなことがあれば、この部分に目を向けてもいいでしょう。】
2:トラブルを予想する
内定を出したら採用活動は終了。そう思われる採用担当者の方も多数いらっしゃいます。しかし実際には、内定を出した後にも、トラブルが起こることもあります。たとえばこんなケースについて想定をされたことはありますか?
【数年ぶりの新卒採用で 】
「毎年続けて新卒採用をするほどの退職者も出ないけれど、組織の人数構成を考えた時には、数年に一度は新卒採用 が必要。今年は数年ぶりの新卒採用 。幸い、同じ市内に規模の大きな看護学校もあり、そこに求人票さえ出せば、1~2名の採用は例年問題なく成功できている。 求人票を持参したら、幸運なことに前回と同じ就職担当の先生がいて、「お久しぶりですね」何て言いながらにこやかに求人票を受け取ってくれた。いつもどおり無事に、1名の採用に成功。後は入職を待つばかり。そう思っていたのですが・・・。看護師国家試験合格発表の翌日。泣き腫らしたような声で、「1点足りず、不合格でした ・・・」との連絡が。毎年100%に近い合格率を誇る学校で、まさかの不合格。それがたった一名しか採用しないウチなんて。すぐに就職担当教授からも連絡があって、「今回は学校の指導が行き届かず申し訳ない。本当に惜しいところなんです。なんとか看護助手として採用して、1年後の看護師国家試験が受けられるように、勉強時間の確保に便宜を図ってやってくれないだろうか」丁寧に頭まで下げられてしまいました。正直、看護助手では診療報酬に反映できません。余分な人件費を抱えている余裕もない。とはいえ、新卒採用ではこの看護学校以外に頼れるところもない。この申し出を断ったら、来年果たして紹介してくれるのかどうか不安です。 こんな場合、一体どうすればいいでしょうか・・・? 」
想像しただけで「ぞっとする」ケースではないでしょうか?他にも、「中途採用の看護師の免許証が確認できない」「中途採用の薬剤師が入職1ヶ月で産前産後休暇を申請した」「内定を出したら雇用契約書を請求された。一度も出したことがないのだが出さなければならないのだろうか?」・・・こんな事態が起こるのは、いつも突然です。しかも、時間に余裕がないケースも多いものです。こんなトラブルが起こった時にはどう対応するか、あらかじめ想定しておくのと、全く1から調整するのでは、対応できる選択肢が全く違います。日々の忙しい業務の中ではなかなか向き合うことのできない種類の仕事ですが、どんなトラブルが起こりうるか、採用決定権者と、意見交換をしてみてはいかがでしょうか。
3:内定者フォローとは?
一般企業の採用では、よくある採用手法の一つ、内定者フォロー。内定者フォローの目的は2つあります。一つ目は、内定者の志望度合いを向上させ、辞退を防ぐこと。ふたつめが、入職後、スムーズに職場環境と業務に対応してもらうことです。 どのような内定者フォローが組織にふさわしいか、もちろん組織によって異なります。しかし共通して言えることは、手段が何であれ、一つでも多くの情報提供をする、という姿勢が最も成功に近づく内定者フォローとなります。 なかなか消化できない有給取得率や、ここ数年高めに推移している離職率など、入職後に徐々に知ってもらえばいい、と考えたくなるデータも含めて、積極的に開示していきましょう。入職前と入職後のギャップは、少なければ少ないほどその後の定着率をあげていくことになります。 トータルの採用コストを落とすために、是非お取り組みいただきたい内容です。
4:人事はどこまでフォローする ?
最後に「入職後について」です。採用内定を出したら、後は部局の責任者に任せて 、一件落着。人事がフォローするのは 給与計算だけ。そんなケースも多いと思います。しかし最近、医師も含めたメディカルスタッフ全員を対象にした、接遇研修を実施する病院様も徐々に増えてきました。配属後も、研修、キャリアステップの相談、資格取得に対する支援といった部分を人事が担当するケースもあります。医療の質を高めるために、人事採用担当者にできること 。株式会社アイ・カンパニーは、研修・採用支援で、お手伝いしてまいります。 お気軽に事例をお問い合わせ下さい。